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ブレワイ・ティアキンの非公式ネイティブ PC/Mac 版が相次ぐ 静的再コンパイルと AI によるコード生成が新潮流

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ポイント

  • 10月16〜28日、ブレワイとティアキンに Savage Wind、SkyboundTOTK、UltraTears、MacNativeGames などの非公式ネイティブ版が登場しました。
  • どれもエミュではありません。静的再コンパイルは Switch のプログラムを事前に PC 用へ変換し、Mac 版は ARM64 のゲームコードを直接動かします。
  • 共通点は AI です。Savage Wind の作者はコードのほぼすべてを Anthropic の Claude が書いたと明言し、UltraTears も AI 支援を明記しています。
  • Mac 版は M4 MacBook Air でプレイ中90fps。SkyboundTOTK は FSR 1、フレーム補間、ウルトラワイド、キーボード・マウスに対応します。
  • 10月29日の TotK Recomp はインストーラー付きで、11月3日に 0.3.7。エミュ用の mod も読めるように。UltraTears は11月1日にランチャーと Steam Deck 版を追加。2作の Android 版もベータ段階です。
  • どれもゲームデータを用意して自分でビルドする形です。11月4日時点で任天堂の公の対応は確認されていません。
目次
  1. 3つの方式を区別する
  2. 時系列
  3. 10月末〜11月初めの新しい動き
  4. 共通点は AI
  5. 任天堂の対応
  6. プレイヤーにとっての意味

2026年11月時点で、任天堂は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(ブレワイ)も『ティアーズ オブ ザ キングダム』(ティアキン)も PC では発売していません。ところが10月16日以降、この2作に、エミュレーターを使わない非公式のネイティブ版が相次いで登場しました。PC では「静的再コンパイル」で Switch のプログラムを事前に Windows 用プログラムへ変換し、Mac ではゲームの ARM64 コードをそのまま動かします。10月下旬には Android 版も出てきました。10月29日公開の TotK Recomp はインストーラー付きで、11月3日には 0.3.7 まで更新されています。どれもゲームデータを用意して自分でビルドする必要があり、多くは開発に AI を大きく使っています。

3つの方式を区別する

方式しくみ例
エミュレーター実行中に Switch のハードをリアルタイムで模倣Eden、Ryubing など
静的再コンパイルゲームの ARM64 の機械語を事前に x86-64 の PC 用プログラム(Android 版はスマホ用アプリ)へ変換Savage Wind、SkyboundTOTK、UltraTears、TotK Recomp
ARM64 の直接実行Apple のチップと Switch がどちらも ARM64 なので、ゲームのコードをそのまま動かし、システムと描画 API を置き換えるMacNativeGames、nxnative

Notebookcheck の説明はシンプルで、エミュは本体のハードをリアルタイムで真似し、再コンパイルはゲーム本来の機械語を PC のプロセッサで直接動くプログラムに変換する、というものです。今年の『夢をみる島』や『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の非公式 PC 移植も同じ方式です。

時系列

日付プロジェクトソフトポイント
10月15〜16日NotRexed 氏の予告ティアキン初期ビルドは RTX 4060 Ti で32〜59fps。数週間で公開と予告
10月中旬Savage Wind Recompブレワイ『夢をみる島』PC 移植のツール LAS Recomp がベース。標準60fps、最大4K、FSR 1。確認は始まりの台地まで
10月18〜19日MacNativeGamesティアキン(のちにブレワイ、iPhone、iPad にも)M4 の MacBook Air/Mac mini でプレイ中90fps、メニュー120fps。Metal 4 と MetalFX を使用
10月25日UltraTears 0.1.0-betaティアキンARM64 → C → x86-64、描画は Vulkan。AI 支援を明記
10月24日BOTWRecompAndroidブレワイLAS Recomp の Android 版がベース。Android 11 以降、arm64、Vulkan。POCO F7 Ultra で Ver.1.8.2 のフィールド約40〜47fps
10月28日SkyboundTOTKティアキンソースコードで公開。FSR 1、実験的なフレーム補間、ウルトラワイド、キーボード・マウス対応。未改造のゲーム(Ver.1.0.0。10月30日に Ver.1.2.1 対応をマージ)と45GB 以上の空き容量が必要
10月29日TotK Recompティアキンインストーラー付き。Ver.1.2.1/1.4.3 対応、標準60fps。10月31日に 0.2.8
10月29日TOTKDroidティアキンVer.1.4.3 の Android 版。ごく初期段階で、序章の洞窟でセーブを読み込みリンクを動かせる程度。POCO F7 Ultra で約30fps
11月1日Savage Wind Alpha 4ブレワイ「試練の覇者」「英傑たちの詩」の DLC 2本に対応。Windows・Linux・Steam Deck
11月1日UltraTears 0.2.0ティアキンランチャー、実験的な Steam Deck・Linux ネイティブ版、正しいゲーム速度で60fps
11月1〜3日TotK Recomp 0.3.1〜0.3.7ティアキンエミュ用 mod に対応、音の不具合を修正、性能まわりの初期設定を変更
11月1〜2日TOTKDroid 0.2.0/0.2.1 ベータティアキンAndroid 初のベータ。ネイティブコード化、洞窟と水の表示を修正、60fps を選択可能。Mali 向けの修正
11月4日BOTWRecompAndroid 0.3.0 ベータブレワイMali GPU で30分ほどで落ちる問題を修正、ワープを復活、40/45fps の選択肢を追加

Notebookcheck によると、SkyboundTOTK は公開時点で Ver.1.0.0 のみ対応(10月30日にマージされたプルリクエストで Ver.1.2.1 にも対応)で、ゲームデータも鍵もセーブデータも含まず、Windows 10/11 で自分でビルドする必要があり、時間もかかります。フレーム補間は表示上のフレームレートを上げるだけでゲーム自体は速くならず、入力遅延が増えることもあります。

10月末〜11月初めの新しい動き

TotK Recomp:インストーラー付きのティアキン PC 版

10月29日に公開された TotK Recomp も、ティアキンの静的再コンパイルです。ソースコードで公開された上のプロジェクトと違い、グラフィカルなインストーラーがあり、ゲームデータ、言語、インストール先を選ぶと自分のパソコンで一度ビルドされます。

  • バージョン:10月29日に 0.1.1。10月31日の 0.2.8 でセーブデータが消えることがある、地底の写真撮影の依頼が終わらない、スクラビルド後に装備がロックされる、といった問題を修正。11月1日の 0.3.1 でエミュ向けに作られた mod(RomFS の mod と、手持ちのゲームのバージョンに合ったコードパッチ)を読めるようになり、新しい Mods タブでオンオフできます(UltraCam のようなコードプラグインはまだ非対応)。11月2日の 0.3.4 は音の不具合の修正、11月3日の 0.3.7 は性能まわりの初期設定の変更と、5.1ch 出力、初期設定オフの Discord ステータス表示の追加です。更新は新しいインストーラーを元のフォルダーに実行するだけで、セーブは残ります。
  • ゲームのバージョン:本体と Ver.1.2.1 か 1.4.3 の更新データ。0.2.8 から Ver.1.1.0 の更新データ(0.2.8 では 1.1.1 と表記)も使えます。
  • 画面と操作:標準60fps、実験的に最大144fps またはモニターのリフレッシュレート。解像度の指定、スーパーサンプリング、FSR 1、16:10・21:9・32:9。キーボード・マウス・コントローラーのキー割り当て、振動、ジャイロに対応し、シェーダーはインストール時に事前コンパイルします。
  • 対応環境:Windows 10 以降、AVX2 対応 CPU、Vulkan 1.3 対応 GPU、導入時に約36GB の空き容量。0.2.1 から Linux 版もありますが、作者はほとんどテストしていないとしています。
  • AI:プロジェクトの説明によると、コードとドキュメントの大半はメンテナーの指示のもと Claude Code が書いています。

SourceForge には説明を書き換えた同名のコピーがあり、「Launcher.exe」を実行して SmartScreen の警告を無視するよう指示しています。プロジェクトとは無関係なので近づかないでください。

ほかのプロジェクトの更新

  • UltraTears:対応は Ver.1.4.3 のみのままですが、Windows 専用ではなくなりました。11月1日の 0.2.0 でコンソール画面がランチャーになり、実験的な Steam Deck・Linux のネイティブ版が加わり、正しいゲーム速度で60fps、準備の段階で全シェーダーをコンパイル、Windows の AMD で真っ暗になる問題も直りました。11月2日の 0.3.0 で Steam Deck と AMD の地底の表示を修正、11月3日の 0.3.1 では1フレームあたりの GPU 時間が約35〜40% 減り、カクつきも大幅に減りましたが、更新には30〜40分ほどの再ビルドが必要です。
  • Savage Wind:11月1日に Alpha 4(0.4.0、同日に修正版 0.4.1)が公開されました。DLC 2本に対応し、ジオメトリをビデオメモリに置くようにしたことで、RTX 3060 で fps が約45〜55% 上がったとしています。Windows・Linux・Steam Deck に対応し、ARM64 の Linux 版はかなり実験的です。11月4日時点でこれより新しい版は出ていません。

Android:2作ともネイティブ版が登場

  • BOTWRecompAndroid(10月24日):ブレワイの Android 版で、Android スマホで動く初の Switch 再コンパイルです。LAS Recomp の Android 版がベースで、Android 11 以降、arm64、Vulkan が必要。主なテスト機は POCO F7 Ultra(Adreno 830、Turnip ドライバー)で、Ver.1.8.2 のフィールドは約40〜47fps。テスト版はほぼ毎日出ています。11月4日の Beta 27(0.3.0)では、Mali GPU で30分ほど遊ぶと落ちる問題が直り、ワープが復活し、120Hz・90Hz の画面向けに40/45fps の選択肢が加わりました。
  • TOTKDroid(10月29日、旧名 TOTKRecompAndroid):ティアキン Ver.1.4.3 の Android 移植で、ごく初期段階です。最初のアルファ版は、POCO F7 Ultra と Turnip ドライバーで序章の洞窟のセーブを読み込んで約30fps で動く程度でした。11月1日の 0.2.0 ベータではゲームのコードを直接動かす方式になってスマホ上でのコンパイルが不要になり、洞窟の明るさ、暗すぎる水面、草の黒い四角が直り、60fps も選べます。冷えた状態の POCO F7 Ultra では序章が60fps、始まりの空島の森が54〜57fps です。11月2日の 0.2.1 では Mali GPU でムービーが0.5〜1fps になる問題が直りました。

ゼルダだけではありません。同じ月に『夢をみる島』『ポケモン Let's Go』『スマブラSP』『メトロイド ドレッド』『あつ森』などにも非公式のネイティブ版が出ています。まとめは Switch の静的再コンパイルブーム をどうぞ。

共通点は AI

  • Savage Wind:プロジェクトの説明によると、コード、ツール、解析、ドキュメントのほぼすべてを Anthropic の Claude が Claude Code で書き、人間は指示・テスト・レビューを担当しました。ベースの LAS Recomp も同じ作り方です。
  • UltraTears:AI 支援を明記しています。
  • SkyboundTOTK:AI を多用したとみられていますが、作者本人は認めていません。

同じ月の、Codex を使った Switch 2 の脱獄や、Eden が AI での貢献制限を外した動きと同じ流れです。任天堂の古川俊太郎社長は2026年6月の株主総会で、生成 AI を使っているかどうかに関係なく、知的財産の侵害には適切に対応すると述べています。

10月末には、Anthropic が Claude Code の指示に「既存の特定ゲームを作り直さない」という誘導を加えました。XDA の検証では、Claude は『ポケモン ダイヤモンド』の作り直しは断った一方、逆コンパイルや静的再コンパイルには協力しており、こうした移植への影響はまだ見えません。詳しくは Switch の静的再コンパイルブーム で。

任天堂の対応

Notebookcheck によると、NotRexed 氏が10月中旬に予告を出して広まった時点で、任天堂は何も対応していませんでした。11月4日時点でも、GitHub に公開された任天堂の DMCA 通知にこれらのプロジェクトは含まれていません(公開は数日遅れることがあります)。ただ任天堂は GitHub 上の関連プロジェクトの整理を続けており、10月23日には『リズム天国』の逆コンパイルプロジェクトに DMCA 通知を出しています。

プレイヤーにとっての意味

これらの移植は、Switch のゲームがエミュなしでも PC や Mac、さらには Android スマホで快適に動くことを示しました。TotK Recomp のようなインストーラーでハードルは下がりましたが、どれも1本ごとのコミュニティプロジェクトで、対応バージョンが決まっており、自分のゲームデータでビルドするものであり、入手してすぐ遊べる「PC 版」ではありません。各プラットフォームの動作状況は ティアキン と ブレワイ のページにまとめています。ゲーム入りの「ティアキン PC 版」は海賊版かマルウェアだと考えてください(偽エミュレーターサイトの見分け方)。自分の Switch ソフトをパソコンで遊ぶ一般的な方法は、Windows での導入、必要スペック、パフォーマンス設定 を参考にしてください。Mac でのネイティブ動作は nxnative と Mac での導入、用語は 用語集 にまとめています。

よくある質問

ティアキンやブレワイがパソコンで遊べるようになったのですか?

任天堂はどちらも PC では発売していません。10月下旬に出たのはすべて非公式のコミュニティプロジェクトで、ソースコード、テスト版、ゲームを含まないインストーラーの形で公開されており、ゲームデータを用意して自分のパソコンでビルドする必要があります。ティアキンの TotK Recomp(10月29日)は Windows 向けのインストーラー付きで、0.2.1 から Linux 版もあり、11月3日に 0.3.7 になりました。UltraTears も11月1日からランチャーと実験的な Steam Deck・Linux 版があります。ブレワイの Savage Wind は11月1日の Alpha 4 で DLC 2本に対応し、Windows・Linux・Steam Deck で動きます。どれも初期段階で、表示の不具合やクラッシュがあります。

静的再コンパイルとエミュレーターの違いは?

エミュレーターはゲームの実行中に Switch のハードをリアルタイムで模倣します。静的再コンパイルは、ゲームの ARM64 の機械語を事前に PC でそのまま動くプログラムへ変換するので、エミュレート層が要らず CPU の負担も軽くなりやすい反面、ソフトごとに個別の作業が必要です。

AI とどう関係しているのですか?

ブレワイの Savage Wind は、コード、ツール、解析、ドキュメントのほぼすべてを Anthropic の Claude が Claude Code で書き、人間は指示・テスト・レビューを担当したとプロジェクトの説明に書いています。UltraTears も AI 支援を明記しています。SkyboundTOTK も AI を使ったと推測されていますが、作者本人は認めていません。

「ティアキン PC 版」の配布サイトは使えますか?

これらのプロジェクトはソースコードか、ゲームを含まないビルド用ツールだけを公開しており、自分のゲームデータでビルドする形です。ゲーム入りの「PC 版」パッケージはマルウェアをばらまく手口としてよく使われます。SourceForge には説明を書き換えて「Launcher.exe」を実行させる TotK Recomp のコピーもあるので注意してください。

出典

  1. Notebookcheck:Modder releases unofficial native PC port of Zelda: Tears of the Kingdom(2026-10-28)
  2. Notebookcheck:Zelda: Tears of the Kingdom Mac port runs at 90 fps(2026-10-19)
  3. XDA:There's now a Zelda: Breath of the Wild native PC Switch port
  4. TweakTown:Tears of the Kingdom PC port released with FSR support
  5. TweakTown:Tears of the Kingdom native port hits Apple Silicon MacBooks, 90 fps on M4 Air
  6. DSOGaming:The Legend of Zelda: Tears of the Kingdom unofficial PC port released
  7. GameGPU:The Legend of Zelda: Tears of the Kingdom gets a native PC port and 144 FPS(TotK Recomp)
  8. OpenPortsGames:ブレワイ Android ネイティブ移植
  9. XDA:Anthropic is testing a potential crackdown on vibe-coded ports of existing games(2026-10-30)
  10. GitHub DMCA 公開リポジトリ:任天堂 2026-10-23 の通知(『リズム天国』逆コンパイル)
  11. 任天堂 第86期定時株主総会 質疑応答(英語版 PDF)